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「目白シンラート2010~椿山篝火舞台」


 若葉彩る幽玄の調べ



 ◇都会の喧騒から解き放たれた、優美な3夜



 自然との共生をテーマにした

 

「目白シンラート2010~椿山篝火(かがり)舞台」

 

(藤田観光主催、毎日新聞社共催、

 

クラブ・コンシェルジュ協賛)

 

が5月5、6、7日、

 

東京都文京区関口の「椿山荘」で開かれる。

 

都会の喧騒(けんそう)から

 

隔絶された夕闇にかがり

 

火が揺れる幽玄の世界。

 

庭園の池に特設 した

 

舞台で能と狂言、舞踊が演じられ、

 

クラシック音楽が新緑の

 

初夏を迎えた都会の森に響く。

 

(敬称略)【望月一夫】

 


     ◇

 


 「シンラート」は

 

森羅万象とアートを組み合わせた造語。

 

広大な庭園で

 

芸術を鑑賞することで

 

森を大切にする心をはぐくみ、

 

自然への関心を深めたいと いう

 

願いが込められている。

 


 売り上げの一部は、

 

植樹のための苗木募金

 

「My Mai Tree」に寄付される。

 


 ◇第1夜--5月5日 端午の節句に春猿が舞う

 


 舞踊の演目は「鐘ケ岬」。

 

ストーリーは、

 

若く美しい僧を見初めた

 

娘がその恋の執心から蛇となり、

 

鐘の中に逃げた僧を殺してしまう。

 


 「鐘ケ岬」は、

 

後日その女が

 

再び鐘の前に現れるところから始まる。

 

女の持つ執念の中に、

 

いちずな可愛らしさ、

 

愚かさ、艶(つや)やかさが華やかに

 

表現される。

 


 市川春猿は、

 

猿之助の舞台を見てあこがれ、

 

歌舞伎俳優を志した。

 

第9期歌舞伎俳優研修生を修了

 

(1988年)した後、

 

猿之助のもとに入門、

 

春猿を 名乗る。

 

90年には猿之助門下

 

の俳優で構成する「二十一世紀歌舞伎組」

 

のメンバーとして「雪之丞変化2001」

 

で女スリのお初を好演し、注目を集めた。

 


 時代物はもとより、

 

「夏祭浪花鑑」の傾城(けいせい)

 

琴浦などの世話物、

 

また歌舞伎の舞台以外では

 

「西太后」での醇親王夫人

 

と現代的なセンスを

 

生 かした独特な個性の女形を演じている。

 


 さらに、

 

02年に自主公演「市川春猿の会」を主宰し、

 

新派の演目「明治一代女」

 

のお梅の歌舞伎女形として取り組み、

 

意欲的な一面をのぞかせる一 方、

 

06年には歌舞伎座で

 

坂東玉三郎演出の「夜叉ケ池」

 

で主役を務めるなど芸風を広げている。

 


 今回の舞台について

 

春猿は「『鐘ケ岬』という踊りは

 

執念といちずな可愛らしさを併せ持った感情の踊りです。

 

池の上での舞台というものは

 

今まで経験 がありませんが、

 

かがり火舞台という

 

幻想的なシチュエーション

 

にぴったりだと思います」

 

と話している。

 

また、自然の中で演ずることに対し、

 

「自然と芸術の 共存は、

 

世界の発展のために

 

ずっと守り続けなければならない

 

ことです」とメッセージを送る。

 


 

◇第2夜--5月6日 薪能と狂言の夕べ

 


 シテ方金春流の櫻間右陣らが

 

演じるのは「杜若(かきつばた)」。

 

男装の麗人の姿で

 

カキツバタの精は

 

在原業平の面影に重なり、

 

伊勢物語の恋物語を舞 う。

 

水辺に美しく咲き乱れる

 

カキツバタの花をテーマ

 

とした初夏の風物詩を謡う名曲。

 

「からころも 

 

きつつなれにし

 

 つましあれば 

 

はるばるきぬる

 

 たびを しぞ思ふ」。

 

業平が清そな姿をした

 

花名に託した旅の心情を優雅に演じる。

 


 櫻間は

 

「ニューヨークの

 

メトロポリタン美術館に収蔵されている、

 

尾形光琳の代表作『八橋図』

 

2隻の6曲屏風(びょうぶ)は、

 

世界中の人々にめでら れています。

 

今回はその屏風の中から

 

現れてきたような

 

カキツバタの花の物語です」と解説。

 


 櫻間は名人とう

 

たわれた道雄(人間国宝)の孫で

 

櫻間家二十一代当主。

 

能楽の重要無形文化財保持者であり、

 

海外公演や普及活動など

 

伝統の継承にも意 欲的に取り組む。

 

櫻間は「さわやかな緑と水の5月の庭園、

 

幽(かす)かな水をたくわえた

 

 

池にかけられる橋と舞台、

 

この贅(ぜい)を尽くした

 

古典のひととき をぜひ、

 

生で味わってほしい」という。

 

 

 


 狂言の演目は「棒縛(ぼうしばり)」。

 

召使の太郎冠者と

 

次郎冠者の盗み酒に気づいた主人が、

 

2人を棒に縛り付けたり

 

後ろ手に縛り付けて外出する。

 

酒を飲みたい2人は苦心を重ね、

 

互いに杯を酌み交わす。

 

酒盛りと歌舞に興じている

 

ところへ主人が帰宅して……

 


 シテを務める狂言方和泉流の

 

野村萬斎は人間国宝・野村万作の長男。

 

3歳で初舞台を踏んだ。

 

国内外で狂言の普及を目指す一方、

 

新しい演劇活動にも精 力的に取り組んでいる。

 


 萬斎は今回の舞台の見どころを

 

「海外でも人気の曲です。

 

縛られてもへこたれず酒を飲む

 

 

事を謳歌(おうか)する2人の召使。

 

お客様にも酒を飲む喜び を

 

ともに感じていただければ幸いです」と表現する。

 


 さらに野外舞台の魅力について

 

「能楽堂や劇場で演ずるのと違い、

 

風も吹けば鳥も鳴き、

 

池もざわめきます。

 

そういうものに身を任せつつ

 

演じられれば と思うと同時に、

 

お客様にも自然に身を

 

 

任せながらご覧いただければ」

 

と願いを込める。

 


◇第3夜--5月7日 新緑のバイオリンコンサート

 


 「素晴らしい自然の中で、

 

その息吹を感じながら演奏する時には、

 

心が解放されて別の次元に音と

 

一緒に飛翔(ひしょう)するような心地になりま す」。

 

今年デビュー10周年のバイオリニストで

 

作曲家の川井郁子は

 

今回のステージにこんなメッセージを込める。

 


 国内外の主要オーケストラをはじめ、

 

世界的指揮者、

 

チョン・ミョンフンとも協演。

 

08年、ニューヨーク・カーネギーホール公演

 

で米デビューを果た した。

 

現在、テレビ、ラジオなどでも活躍。

 


 今回演奏する曲はホルスト作曲

 

「交響曲『惑星』」よりジュピター」

 

▽チャイコフスキー作曲「白鳥の湖」より

 

「ホワイト・レジェンド」

 

▽ロドリー ゴ作曲「アランフェス協奏曲」

 

より「恋のアランフェス 

 

『レッド・ヴァイオリン』」

 


 さらに和洋を融合した

 

新たな世界観として、

 

ハープと和楽器の尺八を加え、

 

川井が自ら作曲した

 

「夕顔~源氏物語」で、

 

日本の心を表現する。

 


 川井はシンラート

 

との関係について

 

「バイオリンの音色

 

も『木』の作品から

 

生み出される『声』だと思う。

 

木々の中で心を澄ませて

 

演奏できた時、

 

自然 と楽器の音が呼応している

 

感覚を味わうことができる。

 

普段はあまり感じられない

 

 

木の静かな息吹が音の

 

バイブレーションによって、

 

身近に迫って来る気がす る」と語る。

 


 そして、

 

「次世代に受け継がなくては

 

ならない大切なものが自然であり、

 

それを守らなくてはいけないし、

 

守ることの大切さも教えていかなければいけ ない。

 

都会の中でなかなか

 

自然とゆっくり対峙(たいじ)することが

 

難しいと思うが、

 

この企画は

 

人と自然のつながりを感じる

 

すてきな機会になっているように 思う」

 

とこのステージへの思いを寄せている。

 


 ■事前講座を開催

 


 毎日文化センターは

 

5月6日(木)の公演鑑賞が

 

 

 

セットになった1日事前講座を開催します。

 


 Aコースは

 

「篝火舞台『能』の出演者に聞く」

 

=能公演に出演する櫻間右陣(シテ)

 

▽松田弘之(笛)

 

▽大倉源次郎(小鼓)

 

▽亀井広忠(大鼓)の4氏 が

 

能「杜若」について語り合います。

 

4月3日(土)10時半。

 


 Bコースは

 

「篝火舞台と目白の風物詩」

 

=かつて武家屋敷が林立していた地、

 

目白付近の魅力と椿山荘を

 

中心として残された自然、

 

それを生かして行わ れる篝火舞台に

 

ついて白洲信哉氏(作家)

 

と櫻間右陣氏が対談します。

 

4月20日(火)10時半。

 


 ▼A・Bコースとも

 

各2万1150円(食事付き鑑賞チケット代込み)

 

▼会場・申し込みは毎日文化センター

 

(東京都千代田区一ツ橋、毎日新聞社1 階)

 

電話03・3213・4768。

 


==============

 


 ◇目白シンラート2010椿山篝火舞台 開催概要

 


 第1夜<5月5日>

 


出演者  演目              料金

 


市川春猿 舞踊「鐘ケ岬」         プレミアム席 4万5000円

 


                         S席 3万    円

 


                         A席 1万5000円

 


 第2夜<5月6日>

 


櫻間右陣 能「杜若」           プレミアム席 5万5000円

 


野村萬斎 狂言「棒縛」              S席 3万5000円

 


                         A席 1万8000円

 


 第3夜<5月7日>

 


川井郁子 「新緑のバイオリンコンサート」 プレミアム席 4万5000円

 


                         S席 3万    円

 


                         A席 1万5000円

 


 すべて食事付き。

 

17時45分より

 

5階「オリオン」にて食事、

 

19時45分開演。

 

会場は特設庭園舞台。

 

雨天の場合は「オリオン」で開催。

 

チケット の問い合わせは椿山荘(

 

電話03・3943・5489)まで(午前9時~午後9時)

 ▼「プレミアム席」は「フォーシーズンズホテル椿山荘東京」の当日宿泊料と東京都宿泊税が含まれます。原則2人での利用をお願いします。1人の場 合は1万5000円の追加料金が必要です。

 ▼「オリオン」でのコース料理のほかに、3日間ともに「プレミアム席」「S席」に限りレストランで食事ができるR席を用意(数量限定)

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