【演劇】「わが魂は輝く水なり」出演、尾上菊之助 蜷川演出で新境地へ (1/2ページ)
若手歌舞伎俳優の尾上菊之助が4日から、東京・渋谷のシアターコクーンの「わが魂は輝く水なり 源平北越流誌」で、平安末期の武将、斎藤実盛の息子、斎藤五郎役を演じる。「歌舞伎やシェークスピア劇にもない亡霊。(観客に)どんな風に映るのか、探っているところ」といい、新境地を開く演技が期待される。(生田誠)
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菊之助は今回、父・尾上菊五郎が出演する「團菊祭五月大歌舞伎」ではなく、蜷川幸雄が演出するコクーンの舞台を選んだ。
「チャレンジ精神をお持ちの蜷川さんには、『十二夜』で歌舞伎の世界に来ていただいた。今度は自分が同じ気持ちで飛び込んで行く番」
コクーン出演は平成12年の「グリークス」以来2度目。「当時は、右も左もわからずに迷惑をかけたが、今は少しは引いて自分を見られるようになった」といい、その成長ぶりを、父・実盛役を務める野村萬斎との共演で見せる。
「わが魂は-」は昭和55年、清水邦夫が劇団民芸に書きおろした。源氏再興の兵を挙げた木曽義仲を北陸で迎え討つ平家軍の中に老武将、斎藤実盛がいた。実盛はかつては源氏方で幼い義仲の命を助けた恩人だった。息子の五郎は義仲の軍に走るが殺されてしまい、亡霊となって父の元に戻る。実盛にぴったりと寄り添って、本音を引き出す不思議な存在だ。
「五郎は実盛にしか見えないので、周りには奇妙な会話に映る。武将の親子は複雑な関係だし、子供は父をなかなか超えられない。どこか歌舞伎の世界の親子と似ているかもしれません。その関係を萬斎さんと会話しながら作っている」
兄に続き、弟の六郎(坂東亀三郎)も義仲軍に身を投じる。一方、実盛は死場所を求めて合戦の場に赴く。五郎たち兄弟はそれぞれに義仲軍のありさまを父に語り、父の見ていた夢の実態を暴き出す。仲間同士が疑い、狂気の殺戮集団となった義仲軍には、昭和40年代の大学紛争時の全共闘の姿が投影されているとも。萬斎、菊之助の個性がぶつかる注目の舞台だ。
老け役に初挑戦の野村萬斎、主演舞台をバリバリPR!
狂言師で俳優の野村萬斎(42)は4日から東京・渋谷のBunkamuraシアターコクーンで上演される主演舞台「わが魂は輝く水なり」(蜷川幸雄演出、27日まで)を3日、同所でPRした。老齢ながら鬼神のように戦った平家の武将、斎藤実盛役で、「40歳を過ぎた私がバリバリに初の老け役に挑戦しています」。
野村萬斎 蜷川さん手本に初の老け役
狂言師野村萬斎(42)と歌舞伎俳優尾上菊之助(30)が初共演する舞台「わが魂は輝く水なり―源平北越流誌―」が4日、東京・渋谷のBunkamuraシアターコクーンで初日の幕を開ける。源平合戦の時代、勇猛果敢に生きた武将斎藤実盛を描いた名作。演出は蜷川幸雄氏(72)。3日の公開舞台稽古では、実盛を演じる野村が「40歳を過ぎ、初の老け役に挑戦します。70歳を過ぎてもまだ創作意識の衰えない蜷川さんをお手本に演じます」と意気込んだ。27日まで。
[ 2008年05月04日 ]